「没後10年 映画監督 大島渚」展の感想
先日、国立映画アーカイブで「没後10年 映画監督 大島渚」の展示を鑑賞してきた。
国立映画アーカイブに行ってきたぞ〜! pic.twitter.com/9mSXuFGsdD
— くにきだ (@romudake) 2023年4月11日
一部のポスターや資料をのぞいて展示品はほとんど撮影OK!たくさんの貴重な資料のほか、大島渚監督のパネルもあるよ!!一緒に写真が撮れる!
映画資料はもちろん、監督の学生時代の書類なども現存していて感動…。まさか尋常小学校時代に書いたお習字にご対面できるとは…。奥様の小山明子さんとフランスで撮ったという写真も展示されていたのだが、ふたりの後ろでキスしてるカップルが写っていてなんかエモかった。
『愛のコリーダ』は経理面などの疑問点を突かれて別件の横槍が入るのを防ぐために、子細な出納簿やありとあらゆる領収書が残されていたそう。そのなかで今回「模擬男性器」の制作費伝票が展示されていて笑ってしまった。ぜひ間近で見てほしい!!伝票の摘要に「○○○制作費」って書いてあるから!(額面も見てほしい)『愛のコリーダ』関連の資料はトリビアが豊富だった。
『戦メリ』もロケハンの写真やキャストの旅程表、捕虜収容所のコンセプトブックなど資料が豊富!一方で、大島映画のいわば美的参謀というべき人物は仕事の資料をいっさい残しておらず、公私共にたくさんの資料が遺された大島渚と全く対照的だった。
キスシーンのフィルム事故を図解したパネルもあったよ!わかりやすかった!
視聴覚展示特設コーナーも設けられて、会場は大島映画音楽がBGMになってる。戦メリのテーマ曲も流れてきてなぜかドキドキした。
膨大な資料を抽出して、そして限られたスペースに展示するのは大変だったろうな、と学芸員や展覧会監修者に思いを馳せる。
内覧会でも話題になっていたかつての私たち、先達の「戦メリ少女」は直接大島渚に手紙を書くことができて非常に羨ましい(こちらのエゴなんだけど)。文面からこれまでに何度か大島渚とやりとりをしていたことが伺える手紙も展示されていた。
展示されていた手紙にクリップで留めたあとがついていてちょっと目頭が熱くなった。これを書いた戦メリ少女にも、クリップで留めて遺しておいた大島渚にも頭が下がる。先達の存在を可視化できてよかった。しかも、会場に同年代と思しき方をお見かけして思わず「同士??」と声をかけそうになった!『戦メリ』じゃなくて、『愛のコリーダ』とか『御法度』かもしれないけど…。
資料はアナログで遺されているからこうして可視化できているのであって、例えば旅程表とかがデジタルデータだとしたら出力されて展示されるのかな?とか、そもそもデータは残されたままになるか?とかも考えてしまった。
また、国立映画アーカイブの常設展をみて感じたことでもあるけど、映画の影響力を再認識した。プロパガンダにもなるし、社会の暗部を訴えかけることもできる。大島渚という個に着目した展示でもあったけど、大島渚を通して映画の本質というかメディアの本質を再確認する展示でもあったと思う。
来館前にはこちらをご確認ください。私は開館時間を間違えました。
蛇足。国立映画アーカイブの近くの交差点の角に桜の木があったのだが、もうすでに葉桜になっていたけども、少しだけ花が散らずに残っていた。風が吹くとその舞うさまがはらはらと美しくてヨノイここに佇んで欲しいな〜〜と思いました。(幻覚をみている人)